「言うことがコロコロ変わる利用者」に振り回されない話の聞き方

ストレスが減る話の聞き方

今回は、「利用者の言うことが毎回コロコロと変わるので、じれったくてイライラしてしまう」という方のお悩みを紹介し、ストレスが減る話の聞き方について紹介いたします。

ぜひ最後まで読んでみてください。

ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら


この間は「グループホームに入る!」って言ったのに、なんで?

言うことがコロコロ変わる利用者がいると、どうもじれったくなってイライラしてしまいます。

先月のことですが、「グループホームに入ります」と言っていた利用者が、急に「やっぱりグループホームはやめます」と言いだしました。

私はびっくりして、「え?どうして?この間はグループホームに入るって言ったじゃない!」とけっこう強めに言ってしまって。だって、絶対にグループホームに入った方が良いと思うし、せっかく意思を固めてくれたと思ったのに。

そしたら、利用者から「怖い」「他のヘルパーに替わってほしい」と言われてしまいました。

他のスタッフは「利用者さんの気が変わるなんてよくあることだよ」と言うんですけど、私はそういうのがじれったくて、どうも苦手なんです。何か良いアドバイスはありませんか?

利用者の言うことに振り回されて、疲弊してしまったり、感情的になってしまったり、このような経験は対人援助職であれば誰しもあるのではないでしょうか。

しかも、この相談者のように「良かれと思って」のこととなると、ついつい思いも強くなってしまいますよね。

私自身も新人の頃に似たような経験はいくつもあり、思い出すと「あの頃は熱かったな…」なんて感じて恥ずかしくなってしまいます。

私は経験を重ねるごとにいつの間にか落ち着いて対応できるようになりましたが、このようなシチュエーションが苦手で、振り回されやすい同僚をよく見てきました。

もしもあなたが似たような問題でストレスを感じているなら、ぜひここから先を読み進めてみてください。

人の気持ちは矛盾する。

まず、対人援助職が必ず知るべき大切なことは、「人の気持ちは矛盾する」ということです。

ご自分にも当てはめてみてください。

とても「楽しみ」でやりがいを感じる一方で、失敗しないか「不安」に感じる仕事。

すごくお世話になったし「好き」なところはたくさんあるんだけど、でも「怖いな」「苦手だな」と感じてしまう人。

当たり前のことではありますが、私たちの感情や思考は波のように行き来し、しばしば矛盾します。

「グループホームに入ります!」と言った利用者さんは、その時は「変わりたい」「前進したい」と思ったのかもしれません。

でもその一方で、環境を変えることへの不安、恐れ、戸惑いもあるでしょう。

だから、利用者さんは、「変わりたい」けど「変わりたくない」のです。

その二つで揺れ動くため、気持ちの整理が苦手な利用者さんの場合は、言うことが二転三転しやすくなります。

この気持ちを援助職が分かってあげられないと、利用者の言うことに毎回振り回されてしまいますよね。

この相談者のように、じれったくてイライラしてしまい、「この間と言っていることが違うじゃない!」と責めるようなコミュニケーションをとってしまうような場面もあるかもしれません。

そうなると、境界線を越えて相手をコントロールするような距離感になり、トラブルも増えやすくなります。

「変わりたい」けど「変わりたくない」。両方の気持ちに寄り添う。

ポイントは、相反する両方の気持ちを理解し、それぞれに寄り添うことです。

「変わりたい」という気持ちにも寄り添い、一方で「変わることへの不安や恐れ」にも寄り添う。

もちろん時と場合にも寄りますが、これが基本です。

あくまでも私の印象ですが、利用者の言うことに振り回されやすい人は、自分自身に対しても白黒はっきりつけようとする傾向があります。

「お世話になった人なんだから、嫌いなんて思っちゃいけない!」

「せっかく好きで始めた仕事なんだから、辛いけど途中で投げ出すなんて許されない!」

自分の相反する気持ちを大切にできないから、悩んでいる人の気持ちに寄り添うことが苦手になるのです。

「なんで?」「どうして?」は詰問につながりやすいので要注意。

なんで?どうして?

このように言いたくなる気持ちはよくわかるのですが、「なんで?」「どうして?」という言葉は、相手に「責められている」という印象を与えてしまいかねません。

お気持ちが変わったんですね。良かったら理由を教えてもらえませんか?

このようなイメージで、穏やかにやりとりをすることを心がけましょう。

ここまで読んでいただき、いかがでしょうか。

ぜひ普段のご自分を振り返り、より安全でストレスの少ないコミュニケーションを意識してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

AIDERS 代表 山﨑正徳

公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。自身の燃え尽き・離職等の経験から、対人援助職のメンタルヘルスを向上させることを目的にAIDERS(エイダーズ)を開業。これまで、延べ3000人以上の対人援助職に対してバウンダリーやクレーマー対応などをテーマに講演を行っている。

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