今回は、安全な人間関係の距離感であるバウンダリー(境界線)について、利用者や患者との距離感を点検していただくためのブログを書きます。
バウンダリー(境界線)という言葉を初めて聞く方は、まずはこちらのブログ記事を読んでみてください。
上記のブログ記事では、バウンダリー(境界線)が保てない時に起きる問題を、「支配・被支配の関係」「共依存の関係」「無関心」という三つの関係性で説明しました。
それでは、安全な人間関係の距離感を保つために、どのような意識や気持ちで、利用者との距離を保つ必要があるでしょうか。ここから、チェックリストを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
摩擦が生じやすくなる利用者に対する考え方
利用者と安全な人間関係の距離感を保ちやすい考え方
先ほどの「摩擦が生じやすい距離感」と比べると、だいぶ安全性が保たれる考え方になります。
仕事とプライベートの境界線を明確に分けることにつながる考え方でもありますから、「利用者も援助職も守る距離感」なのです。
「思いの強さ」はあっても、冷静さを保ち、なおかつ自分の役割と責任に基づいて行動できる考え方です。
援助職がコントロールを受けやすい利用者の距離感
次は、利用者からの「援助職に対する思いの強さや考え方」がどのように関係性に影響を及ぼすのか、説明していきます。
当たり前のことですが、いくら援助職が距離の取り方に気を付けていても、利用者の距離感の影響は必ず受けてしまうものです。
「ケアマネなんだから、私が困っているんだから電話を切らないでください!話を聞いてください!」
このように要求が強いとコントロールを受けてしまうこともあるでしょう。
援助職が共依存関係に陥りやすい利用者の距離感
援助職が最も存在意義を感じる瞬間は、「私は利用者から必要とされているんだ」と実感する時ではないでしょうか。
「あなたが担当で良かった」と言われれば嬉しく感じるのは自然のことです。それ自体はノーマルなことですが、バウンダリー基礎講座でも説明した通り、感情の強さはバウンダリーにダイレクトに影響します。
その感情は、不安や怒りといったネガティブな感情だけではありません。嬉しい、喜び、安心といったポジティブな感情もまた、バウンダリーに影響を及ぼすため管理の意識が必要なのです。
大切なのは、バウンダリーを「保つこと」ではなく「意識すること」
ここまで読んでみて、いかがでしょうか。
バウンダリーを頭では理解しても、実際に行動に移すことはとても難しいことですよね。
そして、今の利用者との関係性がバウンダリーを適切に保てているのかどうかを判断することもまた、簡単なことではないでしょう。
ただ、大切なことは「バウンダリーを保つこと」ではなく、「バウンダリーを意識する習慣をつけること」です。
家族的な距離感で親密に支援をした方がうまくいく関係で、今はそのような支援が必要であれば、それで良いのです。
「今は家族的な距離感で支援をしている」ことを自覚し、スタッフ同士でそれを共有し、状況に応じて調整していくことができれば、それは利用者にとってもスタッフにとってもプラスになりますよね。
常にバウンダリーの意識を持ち、点検する習慣をつくること。個人だけではなく、職場として取り組むこと。
それができれば素晴らしいことだと思います。