今回は、安全な人間関係の距離感であるバウンダリー(境界線)について、利用者や患者との距離感を点検していただくためのブログを書きます。
バウンダリー(境界線)という言葉を初めて聞く方は、まずはこちらのブログ記事を読んでみてください。

燃え尽きを防ぐ!対人援助職のためのバウンダリー(境界線)基礎講座
「対人援助職として、きちんとバウンダリー(境界線)を学びたい」「利用者に感情移入してしまいやすくて、どうにもうまく線引きができない。上手に距離感をつかめる援助職になりたい」このようなご相談やお問い合わせがこの1年でとても増えたなと感じます。…
上記のブログ記事では、バウンダリー(境界線)が保てない時に起きる問題を、「支配・被支配の関係」「共依存の関係」「無関心」という三つの関係性で説明しました。
それでは、安全な人間関係の距離感を保つために、どのような意識や気持ちで、利用者との距離を保つ必要があるでしょうか。ここから、チェックリストを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
摩擦が生じやすくなる利用者に対する考え方
- 私があなたを何とかする。
- あなたのためならどんなことでもやってあげたい。
- 私こそが最もあなたを理解している。
- 私はあなたを正しい方向に導くことができる。
- 私の期待する通りに自立・回復してほしい。
- 他の施設に移ったら、あなたはきっと良くならないはずだ。

訪問看護師のためのバウンダリー(境界線)チェック|メンタルヘルスを整える利用者との距離感
今回は、毎日忙しく働く訪問看護師の皆さんに向けて、「安全な人間関係の距離感=バウンダリー(境界線)」について考えていただくための話をします。病院勤務時代は健康だけが取り柄でしたが、訪問看護師になり約1年半病気やケガが絶えません。休日も心身の…
利用者と安全な人間関係の距離感を保ちやすい考え方
- 私は専門性とサービスの契約に基づいて、あなたに支援を行う。
- 私にできることは、限界がある。
- 私はあなたと問題を分かち合い、一緒に取り組む。
- 私とあなたは対等である。
- 私はあなたが自分の力で目的を果たせるよう、手伝う。
- あなたには治療を行う施設や担当者を選ぶ自由と責任がある。
先ほどの「摩擦が生じやすい距離感」と比べると、だいぶ安全性が保たれる考え方になります。
仕事とプライベートの境界線を明確に分けることにつながる考え方でもありますから、「利用者も援助職も守る距離感」なのです。
「思いの強さ」はあっても、冷静さを保ち、なおかつ自分の役割と責任に基づいて行動できる考え方です。
援助職がコントロールを受けやすい利用者の距離感
次は、利用者からの「援助職に対する思いの強さや考え方」がどのように関係性に影響を及ぼすのか、説明していきます。
当たり前のことですが、いくら援助職が距離の取り方に気を付けていても、利用者の距離感の影響は必ず受けてしまうものです。
「ケアマネなんだから、私が困っているんだから電話を切らないでください!話を聞いてください!」
このように要求が強いとコントロールを受けてしまうこともあるでしょう。
- 私が困っているんだから、私が満足するまで電話を切ってはいけない。
- ヘルパーなんだから、私の要求を断ってはいけない。
- 私は病気で辛いんだから、看護師だったら私の暴言に耐えて寄り添うべきだ。
- あなたには私を回復させる責任がある。
- 援助職の失言は一切許されない。

ケアマネのクレーム対応|利用者家族が電話を切ってくれないときの対処法
ケアマネージャーを対象にしたクレーム対応の研修を行う中で、よく耳にする悩みがあります。それは「利用者家族が電話をなかなか切ってくれない」というものです。ただでさえ業務に追われているのに、電話の内容が利用者本人のことではなく、家族自身の悩み相…
援助職が共依存関係に陥りやすい利用者の距離感
援助職が最も存在意義を感じる瞬間は、「私は利用者から必要とされているんだ」と実感する時ではないでしょうか。
「あなたが担当で良かった」と言われれば嬉しく感じるのは自然のことです。それ自体はノーマルなことですが、バウンダリー基礎講座でも説明した通り、感情の強さはバウンダリーにダイレクトに影響します。
その感情は、不安や怒りといったネガティブな感情だけではありません。嬉しい、喜び、安心といったポジティブな感情もまた、バウンダリーに影響を及ぼすため管理の意識が必要なのです。
- 私のそばから離れないでほしい。
- あなたが担当でなければ私は他の施設に移る。
- 私の気持ちがわかるのは、あなたしかいない。
- 先生や家族には絶対に内緒にしてね。あなただから話すね。実はね…。

対人援助職が共依存だと何が悪いの?燃え尽き、虐待、人手不足…知らなきゃまずい共依存のリスクとは。
「セミナーを受けて、私は利用者に対しても家族に対しても共依存傾向にあることがよくわかりました。もっと早く知っておきたいことでした」研修でバウンダリー(境界線)の講義を行うと、受講者の方からこのような感想を頻繁に伺います。私は専門学校に通い精…
大切なのは、バウンダリーを「保つこと」ではなく「意識すること」
ここまで読んでみて、いかがでしょうか。
バウンダリーを頭では理解しても、実際に行動に移すことはとても難しいことですよね。
そして、今の利用者との関係性がバウンダリーを適切に保てているのかどうかを判断することもまた、簡単なことではないでしょう。
ただ、大切なことは「バウンダリーを保つこと」ではなく、「バウンダリーを意識する習慣をつけること」です。
家族的な距離感で親密に支援をした方がうまくいく関係で、今はそのような支援が必要であれば、それで良いのです。
「今は家族的な距離感で支援をしている」ことを自覚し、スタッフ同士でそれを共有し、状況に応じて調整していくことができれば、それは利用者にとってもスタッフにとってもプラスになりますよね。
常にバウンダリーの意識を持ち、点検する習慣をつくること。個人だけではなく、職場として取り組むこと。
それができれば素晴らしいことだと思います。
-160x90.jpeg)
ストレスが減る人間関係の距離感がわかる!対人援助職のためのバウンダリー(境界線)セミナー
ストレスが減る人間関係の距離感がわかる!対人援助職のためのバウンダリー(境界線)セミナー人間関係の距離感がうまくつかめずにいつもストレスを感じているあなたが、「安全な人間関係の距離感」を一から学び、身につけることができる唯一のセミナーです!…
最新セミナー日程
公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。自身の燃え尽き・離職等の経験から、対人援助職のメンタルヘルスを向上させることを目的にAIDERS(エイダーズ)を開業。これまで、延べ4000人以上の対人援助職に対してバウンダリーやクレーマー対応などをテーマに講演を行っている。