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激務で休職した保健師へ|復職前にもう一度自分の生き方を見つめ直す

メンタルヘルス

相当に疲れ果て、もう職場に足を運べなくなってしまった自治体保健師のあなたへ。

ここまで本当によく、がんばってきました。誰よりも人を支え、職場を支えてきたあなたが、いま休職しているのは、決して弱いからではありません。

過酷な環境の中で、自分を犠牲にして働き続けてきた証です。この記事は、がんばってきたあなたに向けて書いています。

復職を考える前に、自分と向き合う時間を持つことが、次の一歩を確かなものにするはずです。

ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら


激務で限界に達した保健師のリアルな声

半年前から休職しています。

去年からずっと具合が悪くて、それでもがんばって働いていたんですが…もう限界でした。日曜日に泣きながら家事をしていたところを夫に見られて、「頼むから仕事にいかないでくれ」と説得されて、精神科を受診して休職しました。

本当に私はダメだな、と思って毎日自分を責めています。早く復職しないと、もう一生働けなくなっちゃうと思って、気持ちが焦ってばかりです。

でも、仕事のことを考えると涙が出たり、胸が苦しくなったりして、なかなか復職のきっかけをつかめないんです。それでカウンセリングを受けてみようと思いました。

保健師の仕事はとてもやりがいがあって、できれば続けたいです。

でも、一言でいえば過酷すぎて…。あそこに戻ってやれるのか?と毎日考えています。

コロナの時なんて毎日深夜まで働き、休日も呼び出されることが日常でした。疲れがたまっても休む暇はなくて、自分の体調なんて考える余裕もなくて。ただただ必死でした。

コロナはなんとか乗り越えましたが、激務は変わりません。希死念慮のある方や、複雑な家庭環境の相談など、「保健師だから」と丸投げされることがいつもです。断ることなんてできません。暴言を受けるなんて日常ですし、危ない場面でもひとりで対応することが多くて本当に怖かったです。

私の上司が、とにかくスーパーマンみたいな保健師でした。どんなケースも「保健師ならこれくらい当たり前」「困っている人を助けるのが保健師」という感じで、なんでもやるんです。すごいエネルギーでした。

だけど、その上司の影響で現場の仕事はどんどん増えました。他の課や関係機関とか、なんでもかんでもうちに「対応してくれ」とくるし、さらに住民からも「保健師なんだから対応してくれるでしょ」と期待され…

こなしてもこなしても、終わりは見えず、もうボロボロでした。こうやって話をしていても涙が出そうで苦しくなります。戻って前のように働けるのかな…。

今も時々仲の良かった同僚から職場の様子を聞きますけど、相変わらず激務のようです。体調が悪くて休みがちな若い子もいるらしくて。

何も変わってないんですよね。

休職中の保健師さんから相談を受けると、みなさん口をそろえて、同じような悩みを語られます。

あなたと同じように自分を責め、「もう戻れないかもしれない」と苦しんでいる声を、本当にたくさん聞いてきました。

みんな、激務や理不尽な状況に押しつぶされそうになりながら、それでも必死にやってきた人たちばかりです。

だからこそ、限界までがんばってしまう。その結果、心も体もすり減って、立ち上がる気力さえ奪われてしまうのです。

こうした状況の中で、多くの人が「自分だけが弱いのでは」と感じて孤立しています。でも、あなたが一人だけ特別にダメだったわけではありません。

保健師という仕事自体が、あまりに大きな責任と期待を背負わされやすい環境にあり、具合が悪くなるのはむしろ自然のことなのだろうなと、私は感じます。

このブログでは、あなたが置かれていた職場環境を少し客観的に振り返り、復職を考える前に整理しておくべき大切なことをお伝えします。

今は、あなた自身の気持ちと人生を見つめなおす時間です。焦らず、まずは自分と向き合うことから始めましょう。


暴言・暴力被害まで「保健師の役割」とされてしまう。

福祉や介護、医療など、いわゆる対人援助職の世界には、いまだに「暴力被害を仕事の一部」として片付けてしまう悪しき慣習があります。

  • この仕事をしていれば、これくらい当たり前なのにね
  • 最近の若い子はすぐに騒ぐけど、私たちの頃はもっとひどかったのに

そんな言葉が、いまだに現場では飛び交っています。

とりわけ自治体保健師の職場では、この傾向が顕著に感じられます。

「耐えてこそ保健師」

そんな意識を、自分自身も無意識に抱き、周囲もまたその「我慢」に依存してしまっているのです。

  • 保健師だからなんとかしてくれるでしょ。
  • あれくらい保健師なら普通だから。

そんな期待が積み重なり、気づけば「暴言や暴力にさらされること」が仕事の一部として扱われてしまうのです。

理不尽に耐えることが「美徳」とされ、精神論で縛られる。

暴言や暴力の被害、過重労働、プライベートを犠牲にした働き方…

そんな理不尽が積み重なっても、「保健師だから仕方ない」「がんばって当然」とされ、次々に過酷な仕事が押し寄せます。

子どもも小さいし、本当はもっと早く帰りたいです。保健師の働き方を見直してほしいんですよ。

本来なら労働者として当然の感覚ではありますが、そうした声をあげることは、現場によっては「異分子」扱いされてしまうことも少なくありません。

むしろ、「理不尽に耐え身を粉にして働くこと」に存在意義を見出し、それが美徳とされてしまう。

その結果、保健師はまるで兵役のように、精神論に縛られた働き方を強いられやすくなります。

境界線のない保健師の役割──気づけば仕事がどんどん膨らんでいく

家族に例えるなら、世話焼きなお母さんのような存在です。

お母さんも仕事をしていて忙しいのに、「母親だから」という理由で、洗濯・掃除・ゴミ出し・子どもの宿題まで、あらゆる家事や育児を一手に担わされる。

母親はその役割を受け入れ、そして他の家族はそれに依存してしまい、日常になる。

保健師の姿は、それによく似ています。

  • 保健師だから
  • ここは保健師に相談しよう
  • 保健師がなんとかしてくれる

そんな言葉のもと、仕事はどんどん集まってきます。

役割の境界線があいまいで、どこまでが保健師の仕事なのかが定まらない。

そして保健師自身も「任されたからにはやらなきゃ」と抱え込んでしまうのです。

本来、保健師は専門職です。

しかし、地域や職場の中では「便利屋」のように扱われてしまうことが少なくありません。

結果として、気づけば膨大な業務に追われ、疲弊してしまうのです。

休職が長引く一番の理由は、「職場に安全を感じられない」から

ここまで読んで、あなたはどう感じましたか?

おそらく「私は仕事をこなせなかった」と、自分を責めているのではないでしょうか。

あなたは本当に真面目で責任感が強い人です。でもそれは、毎日真剣に取り組んできた結果として、心と体が限界を迎えただけのこと。

本当によく頑張りました。

だから決して「弱いから」ではないし、それほどまでに頑張り抜いた証なのです。

まずは、その事実を認めてあげてほしいです。

そして、これからのことを考えていきましょう。

仕事のことを考えると涙が出たり、胸が苦しくなったりして、なかなか復職のきっかけをつかめないんです。

これは決して特別なことではありません。むしろ、とても自然なことなのです。

休職が長引くケースには大きく二つの理由があります。

ひとつは、うつの症状がまだ十分に回復していない場合。

もうひとつは「職場に安全を感じられない」という場合です。

保健師として復職を考えたときに、胸が苦しくなったり体調が悪化したりするのは、まさにこの「安全を感じられない」ことが原因です。

それは「あなたが弱いから」ではなく、恐怖や不安に対して体が正直に反応しているだけです。

いわば、当然の「健康的な反応」なのです。

人事担当者からは復職についての説明を受けています。復職してからしばらくはできるだけ簡単な業務で、時短勤務も制度にあるようです。

でも、あんなにみんな忙しく働いているのに、一人だけ簡単な仕事をして定時で帰るなんて…。それだけで居たたまれなくて苦しいです。

自治体の専門職である保健師にとって、復職の場は「保健師の現場」しかありません。

その現場に、正義感が強く真面目で手を抜けないあなたが戻って、負荷の少ない仕事だけを淡々とこなす。

それは、想像するだけでも苦しいことではないでしょうか。

「再発をしないように穏やかに働きたい」

「でも、忙しそうにしているみんなに迷惑をかけたくない」

復職を考えるとき、多くの方がこのような相反する気持ちを抱えて苦しみます。

「復職後に待っている、現場の厳しさと居づらさ」

考えるだけで体がこわばり、動悸がして、人によっては涙を流します。

繰り返しますが、これはあなたが弱いのではなく、十分にがんばったからです。

健康な反応なのですよ。

だからこそ、「ただ長く休めば自然と回復する」というものではありません。

職場環境を客観的に振り返り、自分がどう働きたいのか、そしてこれからどう生きていきたいのか。

休職中だからこそ、そこを整理していくことが必要なのです。

「自分が安心したいだけのこと」と「心から望んでいること」の違いがわからないと、人生の迷子になる。

ただただ真面目に、目の前のことをこなしてきたあなた。

ずっと「こうすべき」「ああすべき」と、自分を縛ってきたのではありませんか。

「自分がどうしたいか」ではなく「どうあるべきか」に縛られて生きてきたのではありませんか。

  • 上司や同僚に迷惑をかけないように、もっとがんばらなきゃ
  • キャリアを止めたら、この先もっと働けなくなる
  • 私がやらないと誰も助けられない

そんな思いに押されて、必死に走り続けてきたのではないでしょうか。

でも、少し足を止めて考えてみてほしいのです。

それは、あなたが本当に望んでいることなのでしょうか?

それとも、「安心するために」自分に課してきただけのことなのでしょうか。

「キャリアがあったほうがいい」「お金を稼がないといけない」「人の役に立たないといけない」「仕事を休んではいけない」

こうした考えは、心からの願いというより、これまで刷り込まれてきた価値観であることが少なくありません。

それに気づかないまま「これが自分の望みだ」と思い込んでしまうと危険です。

安心を得るための行動ばかりを重ねて、気づけば本当に望んでいる生活からどんどん離れていってしまうからです。

そうなると、心の中では「本当の自分」と「不安ベースで行動する自分」がちぐはぐになり、迷子のような感覚に陥ってしまいます。

そして毎日が重たく停滞していくのです。

休職は、あなたの人生を復活させるための、かけがえのない時間

今回の休職は、あなたの健康の証です。

「こうあるべき」の生き方をそろそろ卒業することを、心が望んでいるから具合が悪くなったのではないですか。

だから、今も復職しようとすると苦しくなるのではないでしょうか。

今、あなたが休職していることには、大切な大切な意味があり

それは、あなたが新しい生き方を模索している証、健康的な葛藤の表れでもあります。

この休職期間は、次のステップに進むための踊り場です。

「早く戻らなきゃ」「お金を稼がなきゃ」「甘えているだけだ」

こうやって精神論で自分を縛って、無理に階段を登ろうとしてはいけません。

あなたは、本当はどんな人生を望んでいますか。

休職の時間を、あなた自身を見つめ直す大切な時間にしてください。

そのために、カウンセリングを受けてみることも有効な選択肢です。

いつでもお手伝いをさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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AIDERS 代表 山﨑正徳

公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。自身の燃え尽き・離職等の経験から、対人援助職のメンタルヘルスを向上させることを目的にAIDERS(エイダーズ)を開業。これまで、延べ4000人以上の対人援助職に対してバウンダリーやクレーマー対応などをテーマに講演を行っている。

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