とてもショックな出来事があった時に落ち込むのは、「心が弱いから」ではなく「あなたの心が健康だから」

メンタルヘルス

今回のブログ記事は、普段経験しないような大きなショックを受けた時に起きる心身への影響や、早く回復するために心がける過ごし方について解説します。

大きなショックを受けやすい非日常的な出来事とは?
  • 家族や友人、同僚などの死。
  • 悲惨な事件や事故を目撃する。
  • 暴言暴力の被害に遭う。
  • パワハラ・セクハラの被害に遭う。
  • 交通事故に遭う(または起こす)。
  • 仕事で重大なミスをする。
  • 職場で自殺者が出る。
  • 突然解雇される。
  • 詐欺の被害に遭う。
  • ペットが亡くなる。
  • 災害に遭遇する。
  • 失恋する。

他にもショックを受ける出来事はたくさんあると思いますが、このようなショックを体験した時、私たちの心や体にはどのような影響があるのでしょうか。

ここから解説していきます。

ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら


「急性ストレス反応」とは。

まず、このコップの画像を見てください。

コップに水が注がれています。

このコップに注がれる水を「ストレス」、そしてコップを私たちの「ストレスを受ける器」とイメージしてください。私たちは、この「ストレスを抱える心のコップ」を一人一つ持っています。

業務量や仕事の内容、家族や友人、恋愛、病気、金銭的な問題など、毎日生活をしていれば様々なストレスがかかりますよね。日々、色々なストレスに晒され続けながらも、私たちがなんとかやりくりしながら生活できているのは、心のコップから水が溢れることなく、自分のストレスのキャパの範囲内に抑えることができているからです。

また、日常的にかかるストレスはある程度心の準備や慣れができているので、対応もしやすく、キャパオーバーにはなりづらいかもしれません。

ただし、このコップに、突然5リットルの日本酒をドバドバドバ!っと注いだらどうなるでしょうか。

普段は水しか入らないところに大量の日本酒が注がれたら、パニックになりますよね。その場合、あっという間にコップが満杯になり、日本酒がたくさん溢れ出ます。

これが、いわゆる「心のキャパオーバー」の状態です。

急に注がれる大量な日本酒(非日常的な大きなストレス)に心が対応しきれず、たちまちショック状態に陥ります。

これが、「急性ストレス反応」と呼ばれるもので、普段経験しない大きなショックを受けた際、私たちの心や身体、行動には様々な反応が生じます。

これらは、非日常的な出来事を経験したことで起きるノーマルな反応であり、心が弱いからではなく、心が健康だからこそ起きる反応です。

辛いと思いますが、慌てる必要はありません。 大切なことは、急性ストレス反応を理解して受け入れ、正しい対処をとることです。


急性ストレス反応の回復の流れ

急性ストレス反応からの一般的な回復のイメージは以下の通りです。

個人差はありますが、通常2~4週くらいかけて回復していきます。ショックのレベルにもよりますが、始めの1週間位は最も負担がかかる時なので、無理をせずに過ごす必要があります。

ポイントは、「きちんと具合が悪くなること」です。

イメージとしては、ボクシングで相手から強力なパンチをまともにもらった時のことを考えてください。パンチのダメージを少しでも減らして、後遺症を残さないようにするにはどうしたら良いと思いますか?

答えは明白ですよね。

それは、ちゃんと倒れて、ダウンすることです。ここで無理をせずに心身を休めることが、スムーズに回復をさせるために大切になります。

回復を早めるためのポイント
  • 「心のケガをした」「心の交通事故に遭った」と自分に言い聞かせ、できるだけ無理をせずリラックスして過ごす。
  • 仕事をしている人は、1週間程度は通常の6割くらいのパフォーマンスになることを受け入れる。
  • 一人で抱え込まず、同僚や家族と共有する。受けられる支援は断らずに受ける。

大きなショックを受けたわけですから、一週間くらいは自分のことをVIP待遇するくらいの気持ちで、労わって過ごしましょう。

家族に伝えて家事を休ませてもらう、おいしいものを食べる、マッサージを受けるなど、安心・喜び・嬉しいといったポジティブな感情を味わえる時間を増やしてください。

一か月くらい経過しても反応が軽減しない場合は、専門家(精神科・心療内科・カウンセリング)に相談することをお勧めします。当方でもカウンセリングを行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

AIDERS 代表 山﨑正徳

公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。自身の燃え尽き・離職等の経験から、対人援助職のメンタルヘルスを向上させることを目的にAIDERS(エイダーズ)を開業。これまで、延べ3000人以上の対人援助職に対してバウンダリーやクレーマー対応などをテーマに講演を行っている。

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