子どもの気持ちに寄り添うことが大切と頭で理解しても、寄り添うことの意味がわからなかったり、自分が寄り添えているのかがわからなくて困ってしまったり。
また、お子さんの問題をなんとか良い方向に導きたいと一生懸命に関わっているのにうまくいかず、相談した先で「お母さん、もっとお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください」と言われてしまい、途方に暮れてしまう。
このような方に、カウンセリングで多く出会います。
まず、「子どもの気持ちに寄り添ってください」という言葉は、私自身は使うことがない言葉です。
なぜなら
- 「気持ちに寄り添う」というのは、自分が寄り添ってもらった経験がないとなかなかその感覚がつかめないこと。
- 「寄り添う」がよくわからない人が一生懸命に寄り添おうとした結果、子どもの要求に何でも応えてしまい、より状況が悪化してしまうことがあること。
- 「気持ちに寄り添う」ことで子どもの行動が変わり、問題が解決すると誤解する人が多いこと。
これらが主な理由です。
つまり、「気持ちに寄り添う」という言葉を使うには、相手に合わせた十分な説明が必要だというのが私の考えです。
今回のブログでは、「子どもの気もちに寄り添う」ことの具体的な意味と、苦手な方にはそのための取り組みについて解説していこうと思います。
普段児童を支援する現場にいる援助職の方にもぜひ読んでほしい内容です。
「もっとお子さんの気持ちに寄り添ってあげると良いですよ」と言われたんだけど…

小4の長女が、最近友達とうまくいってないみたいで、あんまり学校に行きたがらないんですよ。
家で妹と遊んだりしている時はけっこう楽しそうだし、好きなテレビも見ています。でも、朝になるとなんかグズグズしだして。「行きたくない」「休んでいい?」とか週に1~2回言うようになりました。
それで何回か休ませたことがあるんですけど、「明日は行くから」と言うので休ませたのに、次の日も「休んでいい?」とか言うので私も怒っちゃって。「約束したでしょ?!」「いい加減にしなさい!」とキレちゃいました。こんなことがもう2ヶ月くらい続いています。
それで、私も対応に困っちゃって、市の教育支援センターと、あとは子ども家庭支援センターに相談してみたんです。そしたら、両方から「お母さん、もっとお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください」と言われました。
子どもの気持ちに寄り添うって、私はやっていたつもりなんですけど、違うんですかね。まあ、確かに私はけっこうイライラして色々言ってしまうから、そういうのが良くないんだなとは思います。夫にも同じようなことは言われました。「心配しすぎだと思うよ」って。
だから、もっと寄り添わないといけないのかなと思って、子どもが夜の21時を過ぎてもまだゲームがやりたいと言うから、「やっていいよ」と言いました。そしたら、23時過ぎまでずっとゲームやってるんですよ。「そろそろ寝なさい」と言いたかったんですけど、寄り添わなきゃと思って、何も言えず。
私は余計にイライラしちゃって。こんなので子どもは良くなるんですかね?私は、正直「気もちに寄り添う」ということがよくわかりません…。
実は、私自身が子どもの頃に親からあんまりかまってもらえなかったというか、親は共働きで忙しくて、私は妹の面倒を見てて「しっかりしたお姉ちゃん」と思われていて。親に悩みとか話したことなかったですしね。
いじめられていたことも言わなかったし、進路とかも大体自分一人で決めてきました。だから、いざ自分が母親になって「気持ちに寄り添え」と言われても、どうしていいものかわからないんですよ。
ガミガミいうのは得意なんですけど、それじゃ良くないんですよね。みんな、どうしているんですか?
ここまで読んでみて、いかがでしょうか。
「気持ちに寄り添う」って何なの??という、この相談者の気持ちがわかる!と感じる方は少なくないのではないかと思います。
この方のように、お子様の問題で苦しい思いをしている状況で相談機関を頼った際に「お子さんの気持ちに寄り添うことが大切ですよ」といった助言を受けることは少なくないのですが、その中で「気持ちに寄り添う」の意味がよくわからないという方もまた、実はとても多いものです。
学校に行きたがらないなど、お子さんの問題は親御さんにとっては本当に深刻で、一刻も早く解決をしたい、苦しさから解放されたいと望むものだと思います。
そのような思いを抱え、勇気を出して相談した先で「もっと気持ちに寄り添えば良い」という助言を受けたものの、肝心な「寄り添い」の意味がわからないとなると、途方に暮れてしまい、自分を情けなく感じて責めてしまいますよね。
また、このお母さんのように、一生懸命に寄り添った結果、子どもがゲームをやめなかったり、好き勝手に行動をするようになってしまいどうしていいのかわからないと苦しむお母さんもいらっしゃいます。
皆さん、お子さんのことを本当に思っている優しい方たちばかりです。
でも、この「気持ちに寄り添う」がわからないばかりに

・寄り添うって何?
・寄り添うこともわからないし、できない私って駄目な親なんじゃないの?
・寄り添ってみたけど、何も変わらないじゃない!どうしたらいいの?
こんな風に、混乱し、自分を責め、見通しが見えない問題の重さに疲れ果て、相談にいらっしゃいます。
もし今あなたが同じような苦しい状態であれば、本当にお辛い日々をお過ごしだろうと思い、気がかりに思います。
だからこそ、もしよろしければ、私の話を最後まで聞いてみてください。
あなたが今の困難な状態から抜け出すことのきっかけになることができれば、とても嬉しく思います。
「気持ちに寄り添う」とは「要求に応える」ことではない。
まず、最初にお伝えしたいことは、「気持ちに寄り添う」ということの意味についてです。
「気持ちに寄り添う」とは、つまり、「相手の気持ちに共感する」ということです。
「共感」とは、「喜怒哀楽などの相手の感情を共有すること」です。
自分があたかも目の前の相手になったかのように、相手の感情を想像して共有することが共感なのです。
例えば、「まだ寝たくない!ゲームがやりたい!」と子どもが言った時に、子どもの立場にたって、気持ちを想像します。
このように、十分に相手の気持ちを想像して、言葉にしてあげる。

そうか、まだゲームやりたかったんだね。それでもやめないといけないのは辛いね
これが共感であり、相手の「気持ちに寄り添う」ということになります。
ここまで聞いて、共感が苦手な方は、きっと次のように思うかもしれません。

そんなことを言ったら、ゲームをいつまでもやめないじゃないですか。それでもいいんですか?
そのようにご不安に感じるお気持ちはごもっともです。
確かに、まだゲームをやりたいお子さんの気持ちに共感してしまったら、ゲームをやめなくなると感じてしまうかもしれません。
でも、「あなたの気持ちはとてもよくわかるよ」と共感することは、要求に応えるという意味ではないのです。
つまり、もしゲームを続けることを認めないなら、次のように言えばいいのです。

まだゲームやりたいんだね。それだけ好きなら、それは辛いよね。
でも、ゲームは21時までという約束だからそれは守ってね。そんなに好きなら、ちゃんと約束を守って、また明日楽しくやりなよ!
このように伝えます。
それでもお子さんが納得せずに要求を強めたら、またその気持ちに共感すれば良いのです。
でも、要求は断って良いのです。
「それでもゲームをやりたくて泣き叫んだり暴れたりしたらどうしますか?!」
このような疑問を持った方もいると思いますが、それを説明するとこの記事のテーマから話が逸れてしまうので、そこには触れません。
今回まず理解して頂きたいのは、「気持ちに寄り添う」と「要求に応える」の違いです。
まずはここだけ押さえてください。
「気持ちに寄り添う」ことの目的は解決ではなく、子どもの本当の気持ちを理解すること。
次に、「気持ちに寄り添って」という助言を受けた方が最も抱きやすい疑問に回答します。
それは、「気持ちに寄り添うことで解決するの?」「気持ちに寄り添ってみたけど、一向に学校に行く気配がないんですけど…本当にこれでいいんですか?」というように、助言された通りにやってみたとしても、それによって子どもの行動が変わるというイメージが持ちづらいということです。

・気持ちに寄り添うことで解決するの?
・気持ちに寄り添ってみたけど、一向に学校に行く気配がないんですけど…。本当にこれでいいんですか?
このように、助言された通りにやってみたとしても、それによって子どもの行動が変わるというイメージが持ちづらいということです。
そのような疑問を持つことは、全く持ってその通りだと感じます。
というのも、子どもの気持ちに寄り添う(共感する)ということは、今まさに親が困っている問題を「すぐに解決に導く方法」とは違うからです。
例えば、「学校に行かない」「ゲームをやめない」「親に反発ばかりして手が付けられない」のような問題で困っている親御さんの望む解決は、「子どもに行動を改めてもらうこと」ですよね。
- 学校に行ってほしい。
- ゲームは時間を守ってやってほしい。
- 勉強もしてほしい。
- 反抗的な態度を改めてほしい。
このように親が考えるのは当然のことと思いますし、だからこそ、親は子どもを変える方法を知りたくて相談に来るのだと思います。
ただ、ここで一度考えてみてください。
あなたの悩みと、お子さんの悩みは全く一緒でしょうか?
あなたが「学校に行ってほしい」とお子さんに思っているとすれば、お子さんの悩みもまた同じように「学校に行けるようになりたい」なのでしょうか。
実は、ここに大きなずれが生じているケースがとても多いのです。
親は「学校に行ってほしい」と思っているけれど、子どもは「学校に行かないとお母さんに怒られる」と悩んでいたりします。
学校に行かないなどのお子さんの問題は本当にお辛いでしょうから、親としては一刻も早く楽になりたいし、そのためにも学校に行ってほしいですよね。
そう感じるのは仕方がないことなのですが、それに伴う不安や焦り、苛立ちが強くなりすぎると、お子さんの話を聴くことができず、ついつい一方的に「親の望む解決」を押し付けてしまうものです。
それにより、子どもは本音が言えなくなったり、時には親への反発を強めてみたり、より状況が悪化してしまうことが珍しくありません。
だから、問題を解決するためには、子どもが親に何でも話せる関係を作り、親が子どもの本心を十分に理解する関係を作る必要があるのです。
「どうして学校にいかないの!」と責め立てるよりも「まあ、そういう時もあるよね。お母さんも会社に行きたくないことあるもん」と言ってあげる。
きっと、すごく勇気のいる言葉ですよね(笑)。
でも、そこでお子さんが「あ、わかってくれるんだ」と思って本音を話してくれる関係を作ることで、お子さんにとってのより良い選択を一緒に考えてあげることができるのかなと思います。
つまり、支援者が「もっとお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください」と助言をする時は、
「この問題を解決していくために、まずは親子で何でも話し合える関係を作りましょう。親がお子さんの気持ちをまず理解できる関係を作りましょう」
ということで、解決に向けた親子関係の土台を整えましょうという意味なのです。
まとめると、「気持ちに寄り添う」ということは、今すぐに解決に結びつけるための手段ではなく、解決に向かうための土台作りである、ということをご確認頂きたいと思います。
「自分の気持ちがわかる」からこそ、「人の気持ちがわかる」
では、実際に気持ちに寄り添うにはどうしたら良いのでしょうか。
これについて説明していきます。
これは実際に相談を受けていて感じる私の印象なのですが、「気持ちに寄り添う」が苦手な人は、自分自身の気持ちに寄り添うことも苦手な傾向があります。
自分の気持ちに寄り添うということは、つまり、「自分の気持ちを大切に扱う」ということです。
例えば、家事や育児で大変な毎日を送る中で、「自分の時間が全然とれなくて辛い」「イライラするな!」などとストレスを感じることは日常的ですよね。
このような、辛さやイライラなどの負の感情を抱いている自分や、「もっと自分の時間が欲しいな」という欲求を頂いている自分の気持ちを、あなたはどのように扱っていますか?
このような感情や欲求を大切に扱うことができているかどうかで、お子さんへのあなたの関わり方もまた変わってきます。
例えば、自分の気持ちを大切にすることが苦手な人は、次のように考えがえやすい習慣があります。

子どもを育てるのにこれくらいの苦労は普通だし、他のお母さん達だってみんなやってることなんだから、こんなことで辛いなんて思ってはいけない!
一方、自分の気持ちを大切にすることができると、このように考えやすくなります。

今週は特に疲れたから、今夜の夕食は総菜で済ませて手抜きするぞ!ご褒美にコンビニでスイーツでも買って帰ろうかな…。
あなたは、このどちらに当てはまりますか?
後者は、自分に生じるノーマルな感情や欲求をそのまま受け止めています。
つまり、イライラしている自分、辛いと感じている自分を認め、自分を労わるための行動をとっています。
自分に生じるノーマルな感情をそのまま認めているからこそ、ネガティブな感情とも上手に付き合い、同時にポジティブな気持ちを増やす習慣も身についているのです。
このように、日常的に生じる自分の感情を受け止めていれば、感情にも色々な種類や色々な強さがあることに気づきます。
例えば、「不安」にも、「ものすごく強い不安」もあれば、「ちょっと不安」なこともある。
その日が来るのが「楽しみ」なんだけど、少し「不安」に感じるイベントもある。
「強い怒り」を感じて相手を責めてしまって、その後に急に「悲しい」と感じることもある。
このように、感情は様々な強さで、そして様々な組み合わせで、波のように行き来するものなのです。
自分の気持ちに向き合い、日々生じる感情と向き合うことができていると、当然ですが人に対して共感する力も上がります。
辛そうにしている人が居れば、自分がこれまでに経験した様々な辛さを思い返して、「もしかしたらあの時の私の辛さと同じような状態なのかな…」と推測して、「それは辛いね」と言葉をかけ、寄り添うことができます。
相手がとても喜んでいれば、同じように「良かったね!やったね!」と一緒に喜んであげることだってできるのです。
一方で、自分の気持ちを大切に扱う習慣を持てていないと、どうしても相手の気持ちを想像することが苦手になってしまいます。
自分に生じるノーマルな感情を抑圧したり、なかったことにしてしまうわけですから、気持ちを想像するために必要な感情のバリエーションが不足してしまうのです。
例えば、「辛い」はわかるけど、辛さに点数をつけることができない。
漠然と辛さを感じている自分はわかるけど、その辛さが「ちょっと辛い」なのか「かなり辛い」なのかよくわかりません。
これだと、「辛い」と言っている相手の気持ちを想像することに限界が出てきます。
だから、「気持ちに寄り添う」ことが苦手になるのです。
そして、気持ちに寄り添うことが苦手になると、どうしても正論や経験談を語ってしまうものです。

・学校に行くのが普通でしょ?
・そんなの気持ちの問題だから、気にしたって仕方がないんだよ
・ママはそういう時はいつも前向きに考えてやってきたよ。大丈夫だから。わかった?
頑張って子どもに関わっても、どうしてもこのような言葉をかけるしか手立てがない。
それでも一向に改善せず、どうしてよいかわからずに次第に自分も余裕をなくす。
困って相談に行くと、「もっと寄り添って」と言われてしまう。
これだと、もうどうしたら良いのかわからず、本当にお手上げ状態ですよね。
自分の気持ちを大切に扱う習慣を持つことで、「共感力」は上がる。
ここまで読んで、「まさに私のことだ!だから今までうまくいかなかったのか…」と思った方も少なくないのではないでしょうか。
もしあなたがそうであれば、これまでのように「子どもを変えよう」と一生懸命に取り組むのではなく、まずは自分自身の課題に取り組んでみることが、解決のひとつのきっかけになるのではないかと私は思います。
というのも、もしかしたら、あなた自身が気持ちに寄り添ってもらった経験が少なくて、その中で一生懸命に生きてきたのかもしれません。
「気持ちに寄り添ってもらってきていない」ということは、辛いことがあっても辛さを一人で抱え、できるだけ感じないようにして、「これくらい普通」「どうせ悪いのは私」などと自分に言い聞かせないと、自分を保つことが難しかっただろうと思うのです。
そうだとしたら、自分に生じるノーマルな感情を認める習慣がなかったあなたが、お子さんの気持ちに寄り添うことが上手にできないのも無理もないことです。
だから、どうか自分を責めないでください。
あなたは、これまで頑張って生きてきました。
だからこそ、次はあなた自身が、まず自分のノーマルな感情を扱えるようになりませんか。
自分の感情に気づき、認めて受け入れて、その感情と上手に付き合う力を持つことで、あなたはそこで初めて「気持ちに寄り添う」ことの意味がわかるのではないかと思います。
実際にカウンセリングを受けたクライエントさんから頂いたお話です。
このように、自分を大切にできるようになると心に余裕が生まれ、自然とお子さんの気持ちに目が向くようになっていきます。
もし、「どうしても自分に厳しくしてしまう」「一人では自分の気持ちがよくわからない」と感じる時は、カウンセリングという場を一つの選択肢として考えてみてください。
これまでの習慣を一緒に振り返りながら、あなたがあなた自身を大切にできるよう、お手伝いをさせていただきます。
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・子どもの気持ちに寄り添うことが大切と聞いたんですけど、寄り添うってどういうことですか?
・子どもの気持ちがよくわからないんです。だから、どう対応していいのか毎回悩んでしまいます…。