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「カウンセリングって意味ないの?」どんな効果があるか不安を感じている人に知ってほしい、カウンセリングを受けて得られる4つの効果

カウンセリング

カウンセラーとして働いていると、「カウンセリングとは何か」という種のあらゆる質問をいただくことはもちろん、カウンセリングについてのネガティブな意見を耳にすることが多々あります。

  • カウンセリングは意味がない
  • カウンセリングはただ話を聞いてもらうだけ
  • カウンセリングを受けたけどお金の無駄だった

確かに、カウンセリングって何をしているのか?というのは未だに多くの人にとって謎のままです。

そのようなことから、今回は「カウンセリングの効果」について、できるだけわかりやすく説明をしてみようと思います。

「カウンセリングを受けるか悩んでいる方」や、「カウンセリングを受けてみたけどいまいち効果がわからなかった」という方は、このブログを読んで、カウンセリングについての理解を深めていただきたいなと感じます。

カウンセリングの効果①「浄化(カタルシス)」

心理学において、カウンセリングは主に「浄化」「解明」「教育」「変容」の4つの効果があると言われています。これらをひとつずつ説明していきますね。

まずは、「浄化(カタルシス)」です。

いきなり専門用語を出してしまいましたが、決して固い話をするつもりはありません。

浄化とは、すなわち、「話をすることで心が洗われてスッキリする」という意味です。

例えば、あなたが親への強い憎しみを持って生きているとして、あなたのその怒りや悲しみは、どこで誰に、どのように吐き出しますか?(話を聞いてもらわないといけないと言っているわけではありません)

  • 誰かに聞いてもらいたいとは思っていたんだけど、一回だけ友達に話したら『子どものことを思わない親なんていないよ』と言われちゃって。それ以来、人に話すのがイヤになってしまいました。
  • 夫が理解者で辛い時は話を聴いてもらうんですけど、でも、仕事で疲れている夫をつかまえて、いつまでも、それも何度も何度も親とのことを聞いてもらうのはさすがに気が引けます…。だから、基本は一人で悶々と悩んでいます。

悩みや苦しみは、誰かと共有して、一緒に怒ってくれたり、一緒に考えてもらったりできればとても心強いですよね。

自分の話を否定せずにただただ聴いてもらえて、理解してもらえたら、それだけで心が軽くなることもあるのです。

でも、家族や友達に何度も同じ話を聞いてもらえるかというと、実際は難しいでしょう。

また、「こんな話をしたらきっと嫌われちゃうかも」と思うような、誰にも話せない本音や秘密だってありますよね。

このような話を、安心して思いきり好きに話すことができる場が、カウンセリングなのです。

カウンセリングの時間、あなたは好きに自分の話をすることができます。

  • 誰にも言えない秘密
  • 誰にも話していない本心
  • 友達に話すと「何年も前のことをいつまで怒ってんの?もうあんな男のことは忘れちゃいなよ」と言われそうな過去の心の傷
  • 家族に話すと「心が狭いね」と言われてしまいそうでなかなか言えない、日常の小さな不満

このような話を、何回でも自由に語ることができるのです。

自分の気持ちをありのままに話し、カウンセラーと共有していく中で、「気持ちが楽になる」「胸のつかえがとれた」「考えが整理できた」というような、これらの体験が浄化なのです。

ただ、この浄化は、「カウンセリングを受ければ誰でも得られる効果である」と言うことはできません。

あえて話をしないことで自分を保っている方にとっては、カウンセリングで話をすることで「楽になるどころかとても疲れてしまう」ということは珍しくありませんし、いくら自分の気持ちを語っても、「話しても楽になんてなりませんよ」と浄化を体感できない人もいます。

もちろん、浄化にはカウンセラーとの相性もとても重要です。

また、当然のことですが、カウンセリングに訪れる多くのクライエントさんの目的は「話を聴いてもらうこと」ではなくて「困りごとを解決すること」です。

つまり、浄化そのものは初めは「目的」ではなく、解決に向けたカウンセリングのプロセスの中で、結果として体感していく方が多いのです。

浄化の効果を継続して体験することができた結果、「私には定期的に吐き出す場所が必要だ」「話をすると、自分の気持ちがすごく整理できるものだな」というふうに、浄化そのものが解決に必要なことであると理解し、カウンセリングの主たる目的に変化していくという流れが一般的だと思います。

カウンセリングの効果②「解明」

「解明」とは、文字通り「解き明かす」ということです。カウンセリングのプロセスを通して、クライエントは、自分に起きている様々な問題の本質を理解していくことができます。

  • 会社に行こうとすると、なぜか必ずお腹が痛くなって、心臓がドキドキして結局休んでしまう。
  • 子どもが言うことをきかないと、異常なほどにキレて怒鳴りつけてしまう。
  • 大学の授業のレポートにとりかかろうとすると、なぜか億劫になり、ゲームを始めてしまう。レポートがなかなかできなくて困っている。

このような問題で悩む人の望むことは、体調が良くなること、感情をコントロールすること、または行動を変えることなどになると思いますが、そのためにまず必要なのは「なぜ、今の私にこの問題が起きているのか」を深く理解していくことです。

そのために、カウンセラーは心理学の分野から様々な技法や知識を用いてクライエントへの理解を深め、一緒に問題の本質を解き明かしていきます。

  • 自分では気づいていなかったですけど、本当は会社がイヤでイヤで仕方がないんですね。そういえば、僕は昔から高圧的な人が本当に苦手で、部活の顧問の先生にもやたらと反発したことがあります。そう考えると、会社に行こうとすると具合が悪くなるのは理にかなっているなと思いました。
  • 私は、私自身がお母さんにもっと甘えたかったから、それで娘を怒鳴っちゃうんですね。私は、きっと娘ではなくて、本当は母にすごく怒っているんだと思います。
  • なるほど。確かに、僕はなんでも完ぺきでないと気が済まないんです。だから、レポートも完ぺきなものを仕上げないといけないと思っていて、友達みたいに『単位が取れればOK』という力の抜き方ができないんですよ。そうですね、だからレポートひとつ取りかかるのも、プレッシャーが強すぎて、ついついゲームに逃げるんですね。すごくよくわかりました!

このようにして自分の問題を言葉で説明可能にするということで、霧が晴れたように心の重荷がとれ、解決の手立てを得ることができるのです。

この解明は、カウンセリングを始めたばかりのクライエントにとって、満足度に大きく直結します。

繰り返しますが、クライエントの多くは解決を求めてカウンセリングに訪れますから、「話を聞いてもらっただけで意味がなかった」という感想を持たれるということは、この「解明」と、この後に述べる「教育」が不足している場合が多いのではないかな、とよく思います。

また、注意点としては、この解明は、単にカウンセラーの質問に答えていれば占いのように自動的におりてくるものではありません。

カウンセラーは、あくまでもクライエントが自分で気づくことができるように手伝いますから、「カウンセラーが答えをくれる」というスタンスではなく、「カウンセラーと一緒に考える」というスタンスで利用することが大切です。

カウンセリングの効果③「教育」

「教育」は、カウンセラーによる専門的な見地からの助言をうけ、解決のための具体的な知識や手段を身につけていくことです。

カウンセリングの場面で行われる教育は、クライエントの抱える問題に応じて様々で、無数に存在します。

いくつか例を挙げてみますね。

  • 夫のアルコール問題で悩むクライエントが、依存症についての知識と、家族としての正しい関わり方を学ぶ。
  • 子どもへの過干渉をやめたいクライエントが、過干渉になってしまう原因と、対応方法を学ぶ。
  • 感情のコントロールができずに苦しむクライエントが、ネガティブな考え方の癖を治していく方法と、不安や怒りとの上手な付き合い方を学ぶ。
  • うつ病で仕事を休職してしまったクライエントが、安全に復職をするために、休職中の正しい過ごし方を学ぶ。

このように、教育により正しい知識を身につけて、解決に向かい取り組んでいくのです。

ここでも大切なことは、教育はカウンセラーからクライエントに対する一方的なものではなく、基本は共同作業であるということです。

例えば、不登校の子どもに対する関わり方についての助言を受けたとしても、クライエントには「できること」と「できないこと」があります。

「今は子どもに口うるさく言わずに見守る必要がある」とは頭でわかっていても、「明日は学校行くの?」とついつい問いただしてしまうなど、わかっちゃいるけどできないことはたくさんあるはずです。

だからこそ、カウンセラーからの助言に基づき、自分に取り組めそうなことを、カウンセラーと一緒に考えていくことが必要なのです。

「問題を解決するために、カウンセラーは私を一から十まで導いてくれる」と思っている人もいるのですが、これはカウンセリングに対する誤解です。

カウンセラーは、クライエントの問題を直接解決してあげることはできません。

問題を解決できるのはクライエント以外にいないのです。

だから、カウンセラーは、クライエントが自分で問題と向き合い、解決できるように手伝います。

わかりやすく例えると、ボクシングのセコンドのようなイメージですね。

ラウンドの合間に必要な助言を行い、次のラウンドにどのように挑むのかを一緒に考える。

ラウンド中に受けた傷があれば、処置を行う。

カウンセラーから受けた助言をもとに、クライエントは一人で次のラウンドに向かう。

ラウンドの最中は自分で判断して行動するしかありません。

カウンセラーは、離れたところで見守ることしかできないのです。

カウンセリングの効果④「変容」

最後は「変容」です。

変容は、カウンセリングを受けることにより生じる、クライエントの変化のことを言います。

いくつか例を紹介します。

  • これまでだったら妻と子どもを怒鳴りつけていたと思われる場面で、グッとこらえてトイレに駆け込み、深呼吸をして落ち着きを取り戻した。
  • なんでも完ぺきにこなさないと気が済まなかったのに、「今回は諦めよう」と思えて、諦めてみたらとても気持ちが楽になることに気づいた。同僚から「最近、表情が柔らかくなったね」と言われた。
  • 週末になると家に来る母親に、「一人で過ごしたいから来ないでほしい」と伝えることができた。
  • 自分がどうしたいのか、どんな気持ちなのかがわからなかったのに、「とても悲しい」「仕事に行きたくない」とはっきりと自覚することができた。
  • 定期的にカウンセリングで自分の話をするようにしたら、心が軽くなり、寝込むほどに具合が悪くなることがなくなった。

このように、 行動、考え、感情、心身の健康、人間関係など、カウンセリングを通して起きるクライエントの変容は、多岐にわたります。

「浄化」「解明」「教育」を含めて、流れを説明してみますね。

子どもの不登校の問題で相談をするクライエントの例です。

子どもを見守りたいんですけど、でも不安で不安でついつい口うるさく言ってしまうんです。その度に自分を責めてしまいます。夫は子どものことは私に丸投げで、子どもと全く向き合ってくれなくて。なんでも押しつけるから、イヤになります。

問題に取り組む中で生じる様々な葛藤は、カウンセラーと共有して癒やし、気持ちをリセットする。(浄化)

カウンセリングで話を聴いてもらっているせいか、私自身が子どもの話を落ち着いて聴けるようになりました。私の余裕のなさも、子どもにストレスを与えていたんですね。

カウンセリングの間に起きる変化や問題から、気づきを得る。(変容・解明)

そして、次に自分に取り組めそうなことを、カウンセラーの助言をもとに考える。(教育)

カウンセリングには個々に応じて様々なプロセスがありますので、必ずこうなるということではありませんが、あくまでも一般的な例として参考にしてみてください。

普段カウンセリングをしていて面白いなと感じるのは、多くのクライエントに起きる変容は、唐突であることが多いということです。

カウンセリングとカウンセリングの合間の日常の中で、いつもと違う行動をとることができたり、いつもとは違う考えをすることができたり、いつも気づかなかった気持ちにふと気づいたり。

ドラマのように感動的で劇的な変化を遂げるというよりも、本当にふとした瞬間、ちょっとしたきっかけで、変化が起きているのです。

あんなに長く苦しんできたのに、変われる時ってけっこうあっけないものなんですね

こんなふうに、嬉しそうに語っていたクライエントさんがいたことを、私はよく覚えています。

ここまでお伝えした通り、カウンセリングには「浄化」「解明」「教育」「変容」という4つの効果があります。

単に話を聞いてもらうだけではなく、自分の心を整理し、問題の本質を理解し、新しい知識や方法を身につけ、少しずつ行動や考え方が変化していく。

その積み重ねがカウンセリングの力です。

効果の現れ方は人それぞれですが、安心して自分を語れる場を持つことで、前に進むためのきっかけとなります。

ぜひお気軽にカウンセリングをご利用ください。

AIDERS 代表 山﨑正徳

公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。自身の燃え尽き・離職等の経験から、対人援助職のメンタルヘルスを向上させることを目的にAIDERS(エイダーズ)を開業。これまで、延べ4000人以上の対人援助職に対してバウンダリーやクレーマー対応などをテーマに講演を行っている。

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