家族・組織の「問題の本質」を解き明かす!家族システム論セミナー
不登校・暴力・依存症等の家族の問題からパワハラ・メンタルヘルス問題・モンスター社員等の組織の問題まで活用できるスキルを学ぶ、心理職向けセミナーです。

お知らせ
家族システム論とは?
家族システム論とは、「個人の問題」とされていることを、「個人に関わるメンバーの相互作用で起きる問題」と捉えます。
「家族のメンバーひとりひとりがお互いに影響を与えあう一つのシステム」として考え、家族のメンバーに起きる問題を、「家族のシステムの病理」と捉えます。

例えば、子どもが不登校になった場合は子ども個人の問題としては捉えません。「家族の問題により、子どもが家族を代表して問題行動を起こしている」という捉え方をします。
つまり、親が子どもを変えようとしても問題は解決しません。家族の問題として向き合い、家族が変わっていかないといけないのです。
ここから、基本的な内容を説明していきます。
「どうしてこれが成立するのか?」を口癖にする。

夫と子どもが家のことを全くやってくれません。夫は毎日19時には帰ってきます。子どもは6年生です。「食器を流しに運んでほしい」とお願いしても、強く言った時しかやってくれないし、子どもにも「お風呂掃除くらいやって」と言っても、宿題が終わるとゲームばかりしています。私だって毎日派遣の仕事をして、帰りに買い物をしてご飯を作って、本当に忙しいのに…。
どうやったら二人に家事を手伝ってもらえると思いますか?
まず、考えてみてください。あなたがこのような相談を受けたら、どのように助言しますか?
家族システム論の講義の際、受講者からはこのような意見が挙がることが多いです。とても必要な助言ですよね。
そして中には、このように答える人もいます。
この回答について、あなたはどう感じますか?
実は、これは問題の本質をズバリとついています。
具体的に説明していきますね。
まず、家族システム論を切り口に問題を見る時、常に心掛けてほしいこと。
それは、「どうしてこれが成立するのか」というワードを口癖にしてほしいのです。
さあ、考えてみましょう。
この家族は、お父さんと子どもが全く家事を手伝わなくても回っています。
二人は行動を変える必要がないのです。
なぜでしょうか。
どうしてそんなことが成立してしまうのでしょうか。
「今、この問題で困っている人」=「困るべき人」になっているか?
さらにもうひとつ、考えてほしいことがあります。
①「今、この問題で最も困っている人」は誰ですか?
②「この問題で困るべき人」は誰ですか?
①と②に回答してみてください。
まず、①はいかがでしょうか。
この問題で最も困っている人は、言うまでもなく相談者である「お母さん」ですよね。
では、②はどうですか?
家事を全くやらないことで、本来困るべき人は誰でしょうか。
お母さんに協力せずに自分勝手な行動を続けていれば、本来困るべきなのは「お父さんと子ども」でしょう。
①「今、この問題で最も困っている人」は誰ですか? ⇒ 「お母さん」
②「この問題で困るべき人」は誰ですか? ⇒ 「お父さんと子ども」
このように整理できますよね。
これを見て、おかしいことに気づきますか?
本来は、「この問題で困っている人」と「この問題で困るべき人」が同じでないとおかしいのです。
それなのに、この家族の場合はお母さんが困っている一方で、お父さんと子どもは困っていません。
だから二人は行動を変える必要がないのです。
「人は動かすもの」ではなく「自ら動くもの」と考える。
「二人はどうしたら家事を手伝ってくれるでしょうか…」というお母さんが求める助言は、「二人が動いてくれる方法」ですよね。これが知りたいのです。
ここで大切になる考えが、「人は動かすもの」ではなく「必要に応じて自ら動くもの」である、ということです。
例えば、あなたの職場に「仕事をしない不真面目な人」はいませんか?
周りが忙しくしているのにおかまいなし。電話には出ないし、やりたくない仕事は理屈をつけて堂々と断る。
そんな自分勝手で協調性のない人はいませんか?
考えてみてほしいのが、その人は本当に仕事をしない人なのでしょうか。
社長がその人を呼び出して、「今日中にデータ入力をすべてこなしてくれたら、100万円出す」と言ったらどうですか?
それでもその人はなにもしませんか?
きっと、人が変わったような集中力で仕事に取り組むのではないでしょうか。
または、「今のような不真面目な働き方を変えないなら解雇する」と伝えられたらどうでしょうか。
それでもその人は仕事の仕方を変えませんか?
「職を失いたくない」と思うなら、行動を変えるはずですよね。
つまり、その人が行動を変えずに仕事をしないのは、「行動を変えなくても許される環境」だからです。
だから動く必要がないのです。
- 「どうしてこれが成立するのか?」を口癖にする。
- 「今、この問題で困っている人」=「困るべき人」になっているか?
- 「人は動かすもの」ではなく「自ら動くもの」と考える。
こう考えた時に、家族3人の関係性において、なにが起きているのかを考えてみましょう。
家族システム論は、「家族のメンバーひとりひとりがお互いに影響を与えあう一つのシステム」として考え、家族のメンバーに起きる問題を、「家族のシステムの病理」と捉えます。
ひとつの仮説として、「お母さんが世話を焼きすぎて、二人が依存してしまっている」と捉えることができますよね。

まったく…。私がやるしかないか…。
どれだけ疲れていても、どれだけ不満を感じながらも家事をすべてこなしてしまうお母さん。
そして、そこに依存してしまい協力しないお父さんと子ども。
このようなシステムが維持されているのです。
システムはどのようにして変わるのか。
例えば、このお母さんが体調を崩し、一か月入院することになったとします。
そうしたら、この家族はどうなると思いますか?
お父さんと子どもは、これまでと同じように行動を変えず、家事をしないでしょうか。
そんなことありませんよね。
料理、洗濯、掃除、ゴミ出し、子どもの宿題や学校行事などなど、一手に担ってくれていたお母さんが不在になり、それを放っておけば瞬く間に家は荒れ放題になります。
食事だって出てこないし明日着ていく清潔な洋服もなくなります。
このような環境になれば、さすがにお父さんと子どもは動く必要に迫られます。
やらないと困るのは自分たちだからです。

家事ってこんなに大変だったのか…。毎日これをひとりでやるのはきついな。僕が全然手伝わなかったから、負担をかけちゃってたんだな。悪かったな。
実際に家事をやってみて大変さを知ったお父さん。
大好きなお母さんが入院してしまい寂しい思いをする子ども。
二人が困り、意識に変化が起きます。
「お母さんに甘えすぎていたな」「退院したら、もっと負担を減らしてあげなきゃ」
そして一か月後、お母さんが退院して家に戻ってきます。

あれ???私がいないから家の中は荒れ放題だと思っていたのに、意外と普通だな…。
ということは…。私がやりすぎていたのかも。私って、もともと世話好きだからなー。これからは疲れている時はやらないで放っておけるようにならないとな。
お母さんの入院をきっかけに、家族3人の意識と行動が変わりました。
ようやく3人が協力して動けるようになったのです。
これは、「機能不全だった家族のシステムが機能的に変わった」と捉えることができます。
システムへのアプローチの流れ
- システムの課題を評価する。
- 仮説を立てる。
- システムを変える。
- 課題が改善されたかを評価する。
家族システム論を切り口にシステムの課題を評価し(アセスメント)、そのアセスメントをクライエントと共有します。
この事例で言えば、「お父さんと子どもがクライエントであるお母さんに依存してしまっている可能性が考えられる」ということですよね。
その仮説を共有して、どうしたらシステムを変えていけるのか、クライエントにできることを一緒に考えていきます。
家族のシステムが変わり、機能的になったなら、今度はそれが定着していくように引き続きカウンセリングを通して支援していくわけです。
先ほどの事例では、お母さんの入院をきっかけにシステムが機能的になりましたが、それも一時的でしかないケースも多々あります。
はじめは家事に協力的だったお父さんと子どもも、時間とともに段々とやらなくなる。
お母さんもそれを不満に思いながらも、世話好き癖が抜けずにやってしまう。
結局、「半年後には元どおり」というのはよくある話です。
だから、カウンセリングを継続して点検していく必要があるのです。
EAPなどの産業分野でも活用できる!

うちの職場に、言うことをきかないわがままな社員がいます。私は彼女の直属の上司になるので、これまで何回も指導をしてきました。でも、そのたびに悪態をついて、まったく行動を変えないんですよ。ちょうど繁忙期なのでみんな大変なんですけど、彼女はお構いなしで定時に帰っていきます。
僕の上司ですか?うちは小さい会社なので、僕の上司は社長になるんですけど、社長が厳しいことを言えない人なんですよ。彼女の問題は何度も社長に相談しているんですけど、「よく話し合って」とかそんなことしか言わないんです。それどころか、社長は彼女をすごく甘やかすんですよ。「毎日がんばってるね」「無理しないでね」とか。きっと、自分が嫌われたくないんでしょうね。本当に困りましたよ。
家族システム論は「家族問題に活用する家族療法」という認識が強いかと思いますが、私は家族システム論をそのまま組織に当てはめて活用しています。
「職場のメンバーひとりひとりがお互いに影響を与えあう一つのシステム」として考え、職場のメンバーに起きる問題を、「職場のシステムの病理」と捉えるのです。
わがままな社員の問題は、「職場の問題により、社員が職場を代表して問題行動を起こしている」と考えます。
このケースを家族システム論を切り口に考えてみましょう。
社員の問題行動を指導するべき管理職の足並みがそろわないことで、「社員は行動を変える必要がない」のです。
だから、「社員の問題」ではなく「会社の問題」になります。
そこを認めて、向き合っていけるかどうかを支援していくことになります。
このように、このセミナーは組織を家族に見立ててアセスメントする方法を学ぶことができる唯一無二の内容となっています。
EAPなどの産業分野で働いている方、また産業分野で働きたい方には、特に強く受講をお勧めしたいです。
家族システム論を学ぶことで得られるもの。
- クライエントに起きている問題を広い視野で評価することができる。
→ 傾聴だけのカウンセリングから脱却し、具体的な助言ができるカウンセラーになる。 - クライエントが気づいていない問題の本質にたどり着くことができる。
→ 「自分では絶対に気づきませんでした!相談して良かったです」と言ってもらえる。 - クライエントとアセスメントを共有しやすく課題や目標の共有がしやすい。
→ カウンセリングを継続するモチベーションにつながる。 - 組織のアセスメントにも活用できるため産業の分野でも活躍することができる。
→ 専門性の幅や深みが大幅にアップする。
セミナー内容
1.家族システム論とは何か
2.バウンダリー(境界線)を切り口にした関係性の理解
3.機能不全家族の理解
4.機能不全組織の理解
5.事例から学ぶ!家族システム論
※講義時間 200分
セミナーのダイジェスト動画はこちらからご覧ください!
プログラムの詳細を表示
1.家族システム論とは何か
- 家族システム論とは
- 不登校を「子ども個人の問題」として捉えてはいけない理由
- システムの機能を評価するポイント
- 風通しの良い機能的なシステムに欠かせない「3つの機能」とは
2.バウンダリー(境界線)を切り口にした関係性の理解
- バウンダリー(境界線)とは何か
- 相手をコントロールする「支配・被支配の関係」
- 相手に必要とされている状況を作り出す「共依存の関係」
- 「境界線を踏み越えたコミュニケーション」と「境界線を守るコミュニケーション」
- 良かれと思った行動で相手の力を奪ってしまう「イネイブリング」
- 「今、困っている人」=「この問題で本当に困るべき人」になっているか?
- 相手に興味を示さない「無関心」
3.機能不全家族の理解
- 柔軟な家族システムと機能不全の家族システム
- 子どもが自立しやすい親子のコミュニケーション
- 子どもの自立を阻害する親子のコミュニケーション
- 親と子の役割の逆転現象とは
- 機能不全家族で育つ子どもに生じる影響と問題
- 暴力が連鎖する人間関係の構造
4.機能不全組織の理解
- 社員の自立を阻害する管理職のコミュニケーション
- 上司と部下の役割の逆転現象とは
- 暴力的な言動で支配を受ける社員に生じる影響とは
- 派閥形成や一斉退職が起きやすい職場のシステム
- 職場の世代間連鎖とは
- モンスター社員はどのようにして誕生するのか
5.事例から学ぶ!家族システム論
- 事例①いくら注意しても子どもがゲームをやめません。
- 事例②子どもにキレて怒鳴ってしまいます。
- 事例③何を言っても指示に従わない社員がいます。
- 事例④転職してから原因不明の体調不良で出勤できません。
- 事例⑤加重労働がひどくて退職するか悩んでいます。
講師
AIDERS 代表 山﨑 正徳
(公認心理師・精神保健福祉士)

講師は、これまでに延べ4000人以上の対人援助職への研修・講演を行っています。
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受講料金
11,000円(税込) ※講義時間 200分
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・家族3人でよく話し合うように伝えます。
・とても困っているという気持ちを、二人に伝えられるように支援します。アサーションを教えます。